はじめに
ベトナムに進出して人を雇う。そのとき最初に直面するのが「いくら払えばいいのか」という問題だ。
日本では最低賃金は都道府県別に定められ、東京と地方の差は数百円。しかしベトナムでは4つの地域区分で最低賃金が設定され、最も高いRegion I(ハノイ・ホーチミン市)と最も低いRegion IVでは43%もの差がある。さらに、最低賃金は単なる給与の下限ではない。社会保険料の計算基礎、残業手当の基準、退職手当の基準にまで連動している。
そして日本人が最も驚くのが、Tết(旧正月)ボーナスの存在だ。法律上は義務ではない。それでも支給しない選択は、Tết明けの離職につながりやすいと言われている。
この記事では、ベトナムの最低賃金制度、給与体系の設計方法、そしてTếtボーナスの扱いまで、人を雇う前に押さえておきたい賃金の要点を解説する。
第1章 4つの地域で異なる最低賃金
2026年の最低賃金
ベトナム政府は2025年11月に Decree 293/2025/ND-CP を公布し、2026年1月1日から地域別最低賃金を平均 7.2% 引き上げた。
| 地域 | 対象地域の例 | 2025年 | 2026年 | 増加率 |
|---|---|---|---|---|
| Region I | ハノイ、ホーチミン市、ハイフォン、ダナン | VND 4,960,000 | VND 5,310,000 | 7.1% |
| Region II | ビンズオン、ドンナイ、カントー等 | VND 4,410,000 | VND 4,730,000 | 7.3% |
| Region III | ハイズオン、カインホア、ロンアン等 | VND 3,860,000 | VND 4,140,000 | 7.3% |
| Region IV | その他の農村部 | VND 3,450,000 | VND 3,700,000 | 7.2% |
Region Iの VND 5,310,000 は日本円で約3万円弱。「安い」と思うかもしれないが、これはあくまで法定の最低額だ。実際の支給額がこれを上回るのは珍しくなく、工業団地の製造ラインのワーカーでVND 7,000,000〜10,000,000程度という水準が語られることが多い。ただしこれは公的な統計に基づく数字ではなく、地域・業種・職種で幅がある。採用計画を立てるときは、進出予定地の実際の求人票を集めて自分で確かめたい。
地域区分の決まり方
地域区分はコミュニティレベル(社・坊)ごとに細かく決められている。同じ省でも都市部と農村部で異なる地域区分が適用される。
工業団地内の企業は、その工業団地が複数の地域区分にまたがる場合、最も高い最低賃金が適用される。これは地方に進出する企業にとって意外な落とし穴で、「Region IIIの田舎だから安い」と思っていたら、工業団地の特例でRegion IIの賃金が適用されるケースがある。
上がり続ける。ただし毎年ではない
ベトナムの最低賃金は長い目で見れば上がり続けている。Region Iの月額は2016年のVND 3,500,000から2026年のVND 5,310,000へ、10年で約1.5倍(およそ+52%、年平均にならすと4%台)になった。Region IVも2016年のVND 2,400,000から2026年のVND 3,700,000で、上昇の幅はほぼ同じだ。
「10年で約2倍」という説明を見かけることがあるが、それは2014年のVND 2,700,000を起点に12年を取ったときの数字だ。
そして引き上げは毎年ではない。2021年、2023年、2025年は据え置かれている。引き上げが行われた年の上げ幅は、近年おおむね6〜7%だ。進出時のコスト試算に織り込むなら、「毎年7%」ではなく「10年で1.5倍前後、ならして年4〜5%」と見るほうが実績に近い。
いずれにせよ、最低賃金の動きは給与体系の設計に重くのしかかる。最低賃金ギリギリの給与設定をしていると、改定のたびに全社的な賃金テーブルの見直しが必要になる。
第2章 2種類の「最低賃金」を理解する
地域別最低賃金 vs 共通最低賃金
ベトナムの制度を複雑にしているのが、「最低賃金」が2種類存在することだ。
地域別最低賃金(Mức lương tối thiểu vùng) は、前章で説明した4地域の最低賃金。基本給の下限として機能し、残業手当の計算基礎や雇用保険の上限額にも連動する。
共通最低賃金(Mức lương cơ sở) は、公務員の給与や社会保険関係の上限額を決めるために使われてきた指標だ。Decree 73/2024/ND-CPの VND 2,340,000/月 から、Decree 161/2026/ND-CP(2026年5月15日公布)により、2026年7月1日から VND 2,530,000/月 に引き上げられた。
ここでもう一段ややこしいのが、社会保険法 41/2024/QH15(2025年7月1日施行)以降、強制社会保険料の算定基礎の上限を決める指標が、「共通最低賃金」ではなく 参照水準(Mức tham chiếu) という新しい用語に置き換わったことだ。参照水準は共通最低賃金が廃止されるまでは同額とされるため、2026年7月1日以降の上限は VND 2,530,000 × 20 = VND 50,600,000/月 になる。
この2つを混同すると、社会保険の計算を間違えたり、残業手当を過少に支払ったりするミスにつながる。共通最低賃金は改定の頻度が高いので、社内の計算式に金額をベタ書きしないほうがいい。
「訓練済み労働者」の7%は、いまは法定の下限ではない
日本語でも英語でもよく見かけるのが、「職業訓練修了者には地域別最低賃金の7%増し以上を払わなければならない」という説明だ。これはかつては法令に書かれていた。ただしそれは Decree 90/2019/ND-CP までの制度で、Decree 38/2022/ND-CP(2022年7月1日施行)で削除されている。
現行の Decree 293/2025/ND-CP も、7%を新たに義務付けてはいない。同第5条第4項が定めているのは、労働契約・労働協約その他の合法的な合意ですでに約束されている、労働者に有利な取り決め——その例として職業訓練修了者への7%上乗せが挙げられている——は引き続き実施する、という経過的な扱いだ。
つまり7%は、これから人を雇うときの法定下限ではない。一方で、過去の労働契約や社内の賃金規程に7%上乗せを書き込んでいる企業は、それを一方的にやめることはできない。7%が問題になるかどうかは、法令ではなく自社の契約書と賃金規程に何が書いてあるかで決まる。まずそちらを開くほうが早い。
第3章 賃金テーブル — 作成義務を知っているか
全企業に課された義務
Labor Code 2019第93条は、すべての企業に賃金等級表・賃金表(Thang lương / Bảng lương)と労働ノルマの作成を義務付けている。日本にはこのような法的義務はないため、日系企業が見落としやすいポイントだ。
賃金テーブルとは、職位・職種ごとの給与レンジ(等級と金額の対応表)を体系化したもの。具体的には以下の要素を含む。
- 職位・職種の分類
- 各等級の基本給の範囲(最低額〜最高額)
- 昇給の基準・幅
求められているのは3つ。届出は入っていない
第93条が使用者に課しているのは3つだ。賃金テーブルを作成すること。職場に労働者代表組織があれば、その意見を聴取すること。そして実施前に職場で公開すること。
ここで日本語の情報源に注意がいる。かつては、作成した賃金テーブルを県レベルの労働機関へ提出する義務があった。しかしそれはLabor Code 2012第93条第2項と Decree 49/2013/ND-CP の制度であって、Labor Code 2019の施行(2021年1月1日)と、Decree 145/2020/ND-CP によるDecree 49/2013の廃止(2021年2月1日)をもって無くなっている。
罰則の側から見ても同じことが確認できる。労働分野の行政処罰を定める Decree 12/2022/ND-CP 第17条第1項が挙げる賃金テーブル関係の違反は、職場で公開しないこと、作成しないこと、労働者代表組織の意見を聴かないこと、賃金明細を通知しないこと、男女で差別的な賃金を払うこと。「届け出ないこと」という違反類型がそもそも無い。
それでも、届出が必要だと書かれた古い解説はネット上に大量に残っている。届出先の役所を探して時間を使う前に、その記事が何年の条文を見て書かれたものかを確かめたい。
「うちはまだ労働組合がない」という場合、第93条の意見聴取義務は、職場に労働者代表組織がある場合の話になる。ただし賃金等級表・賃金表の作成は職場対話の対象に含まれるため(Labor Code 2019第63条第2項)、従業員に説明する手続きそのものが消えるわけではない。
第4章 残業手当 — 日本より厳しい上限と高い割増率
割増率の比較
| 区分 | ベトナム | 日本 |
|---|---|---|
| 平日の残業 | 150%以上 | 125%以上 |
| 休日の残業 | 200%以上 | 135%以上 |
| 祝日の残業 | 300%以上 | 135%以上 |
| 深夜割増(追加) | +30% | +25% |
ベトナムの割増率は日本より格段に高い。特に祝日残業の300%(日本の2倍以上)は大きなコストインパクトがある。
残業時間の上限
ベトナムの残業上限は月40時間、年200時間。日本の36協定上限(月45時間・年360時間)と比較しても厳しい。
特定の業種(繊維、電子、農水産加工など)では年間300時間まで延長可能だが、それでも日本より厳しい。製造業で繁忙期に対応するには、綿密な生産計画と交代制勤務の設計が不可欠だ。
残業上限を超えた場合は、行政処罰の対象になり得る。金額を定めているのは労働分野の行政処罰の政令(Decree 12/2022/ND-CP)で、本記事の参照時点で見た解説ではVND 2,000万〜2,500万、法人はその2倍とされる。ただし同政令は Decree 283/2026/ND-CP(2026年9月10日施行)に置き換わるため、金額と条番号は現行の条文で確認したい。
第5章 Tếtボーナス — 法律と文化の間
法的には「任意」、実務では重い
ベトナムのTếtボーナス(13ヶ月目給与 / Thưởng Tết)について、最も重要なことを先に言う。
法律上は支給義務がない。しかし、払わないという判断は人が辞める理由になりやすい。
Labor Code 2019第104条は、賞与(Thưởng)を「企業の業績および従業員の勤務実績に基づいて使用者が決定するもの」と定義しており、Tếtボーナスの支給を義務付けていない。
しかし、ベトナム社会においてTếtは「1年で最も重要な行事」であり、Tếtボーナスは生活の一部として組み込まれている。家族への贈り物、親族への送金、正月準備の費用——そうした支出をTếtボーナスの前提で計画している従業員は多い。
Tếtボーナスの相場と言われるもの
以下は公的な統計ではなく、実務でよく語られる目安だ。企業規模・業績・地域で大きく振れるため、そのまま予算に置くのではなく、進出先の同業他社の水準を採用の場で確かめてほしい。
| 業種 | 相場(基本給の月数分) |
|---|---|
| 製造業(一般ワーカー) | 1〜2ヶ月分 |
| 製造業(管理職・技術者) | 2〜3ヶ月分 |
| IT・サービス業 | 1〜3ヶ月分 |
| 外資系大手 | 2〜4ヶ月分 |
「1ヶ月分」を一つの目安として語る人が多く、これを下回るとTết明けの離職が増えやすいと言われる。
税務・社保の取り扱い
- PIT(個人所得税):課税対象。給与所得として合算される
- 社会保険:計算基礎に含まれない。賞与は保険料の計算から除外される
- CIT(法人税):損金算入可能(社内規程に基づく支給であること)
支給タイミングの重要性
TếtボーナスはTết前に支給するのが鉄則。旧暦の新年(通常1月下旬〜2月中旬)の1〜2週間前が一般的だ。
「Tết後に業績を見てから支給する」——これは日本の感覚では合理的だが、ベトナムでは最悪の選択。従業員は正月の支出をTếtボーナスで賄う前提でいるため、Tết後の支給は「払ってくれなかった」と同義に受け取られる。
第6章 給与スプリット — 駐在員の給与設計
日本払いとベトナム払いの分割
日本から駐在員を派遣する場合、給与を日本とベトナムで分割して支払う「スプリット」が一般的だ。日本では社会保険や住宅ローンの関係から一定額を日本で受け取り、ベトナムでは現地生活費として支給する。
税務上の落とし穴
ベトナムの税法上、183日以上滞在する居住者は、全世界所得がベトナムのPIT課税対象となる。つまり、日本で受け取っている給与部分も含めて、ベトナムで申告しなければならない。
さらに、現物給付(会社が負担する住居費、社用車、一時帰国費用等)も課税所得に含まれる。日本では非課税の手当がベトナムでは課税される可能性があるため、赴任前にスプリットの設計を慎重に行う必要がある。
社会保険の計算基礎
外国人も強制社会保険の対象になる。義務そのものは2018年から始まっており、社会保険法 41/2024/QH15(2025年7月1日施行)第2条第2項で、12ヶ月以上の有期契約を結ぶ外国人が加入対象と整理された。企業内転勤者、定年に達した者、条約に別段の定めがある場合は除外される(No.15参照)。
保険料の計算基礎はベトナムの雇用契約に記載された給与額であり、日本側の支払い分は原則として含まれない。
ただし、ベトナム側の契約給与を意図的に低く設定しすぎると、税務調査の際に「実質的な給与額はもっと高いのではないか」と指摘されるリスクがある。
第7章 給与明細と労働管理台帳 — 日本にはない法定義務
「賃金台帳」という義務は、条文には無い
日本語の解説には「Labor Code 2019第94条が賃金台帳(Sổ lương)の作成・保管を義務付けている」と書かれたものがある。これは条文と合わない。
第94条は賃金支払の原則を定めた条文で、中身は2項しかない。賃金は直接・全額・期日どおりに支払うこと。そして、労働者が賃金をどう使うかに使用者が干渉してはならないこと。賃金台帳という帳簿の作成義務は、Labor Code 2019には規定が無い。
代わりに押さえるべき義務が2つある。
給与明細の通知義務
Labor Code 2019第95条第3項は、賃金を支払うたびに 賃金明細(Bảng kê trả lương) を労働者に通知することを使用者に義務付けている。書くべきは、賃金、時間外賃金、深夜賃金、そして控除がある場合はその内容と金額だ。
Decree 12/2022/ND-CP第17条第1項も、処罰の対象として「賃金明細を通知しない、または規定どおりでない」ことを挙げている。日本の給与明細の交付義務と似ているが、記載項目が条文で指定されている点が違う。通知方法は書面、電子メール、給与システムなど、労働者に届く形であればよい。
労働管理台帳
もう一つがLabor Code 2019第12条第1項の 労働管理台帳(Sổ quản lý lao động) だ。紙または電子で作成・更新・管理し、権限のある国家機関から求められたときに提示する義務がある。労働監査の場で出てくるのはこちらなので、常に最新の状態に保っておきたい。
なお、これらを何語で作るべきかについては、第95条第3項にも第12条にも言語の指定は見当たらない。実務上はベトナム語で整えるほうが監査の場で説明しやすいが、「ベトナム語でなければ違法」と断じる条文の裏は取れていない。
日本との違い — 「日本の常識が通じない」ポイント
最低賃金の上がり方が違う:日本では最近こそ引き上げペースが加速しているが、ベトナムのRegion Iはこの10年で約1.5倍になった。ただし毎年上がるわけではなく、据え置きの年が3回ある。進出時のコスト試算は「毎年7%」ではなく、据え置きを挟みながら10年で1.5倍前後という形で見ておくほうが実績に近い。
「ボーナスは業績次第」は通じにくい:日本の感覚で「今年は業績が悪いからボーナスなし」とやると、ベトナムでは反発が大きくなりやすい。Tếtボーナスは文化的に「生活費の一部」として扱われており、不支給は「約束を破られた」と受け取られることがある。
残業を自由にさせてもらえない:日本では36協定の範囲内で柔軟に残業を命じられるが、ベトナムでは月40時間の壁が厚い。しかもベトナムでは従業員の同意が必要で、使用者が一方的に残業を命じることは原則としてできない。
賃金テーブルの作成・公開義務:日本には給与体系を文書化して職場に公開する法的義務はないが、ベトナムでは全企業に義務付けられている。行政への届出は2021年に無くなったので、いま必要なのは「役所に出すこと」ではなく「作って、意見を聴いて、職場に貼り出すこと」だ。
ここが変わった(2025〜2026年)
Decree 293/2025(2026年1月1日施行)
- 地域別最低賃金が平均7.2%引き上げ
- 時給の最低賃金を改定(Region I: VND 25,500/時間)。なお時給の最低賃金は「新設」ではない。Labor Code 2019第91条第2項が最低賃金を月額と時給で定めると規定しており、政令のレベルでもDecree 38/2022/ND-CP(2022年7月1日施行)が初めて時給額を置いた。Decree 74/2024、Decree 293/2025はその金額を改定している
- パートタイム労働者にも最低賃金の保護が明確化
地域区分は付録で確認する
地域区分は省単位ではなく、コミューンレベル(社・坊)ごとにDecree 293/2025の付録(Phụ lục)で定められている。2026年1月1日からの一覧はこの付録で新しくなっているので、以前の資料で「Region III」と覚えている地域が今も同じ区分とは限らない。自社の事業所がどこに該当するかは、付録の一覧で確認しておきたい。
行政の窓口が変わった
2025年2月の省庁再編で、労働・傷病兵・社会省(MOLISA)は内務省(Bộ Nội vụ)へ統合された。地方の労働行政も、省の労働傷病兵社会局(DOLISA)から内務局(Sở Nội vụ) へ移っている。外国人労働者関係の手続の所管変更は Decree 128/2025/ND-CP で整理された。賃金テーブルの届出は前述のとおりそもそも不要だが、労働関係で役所に出向く用事があるときは、窓口の名前が変わっていることを前提にしたい。
社会保険法改正の波及効果
社会保険法 41/2024/QH15(2025年7月1日施行)で、外国人の加入対象と除外の範囲が整理された。これに伴い、保険料計算の基礎となる「手当」の範囲が改めて注目されている。基本給に含めるか手当として分離するかによって保険料負担が変わるため、給与体系全体を見直す動きが出ている。
まとめ:やっておくべきこと
自社の工場・事業所がどの地域区分に該当するか、Decree 293の付属リストで確認する。工業団地内の場合は特例適用に注意
賃金テーブルを作成し、意見を聴き、職場で公開する。職位ごとの等級と給与レンジを明記する。行政機関への届出は現行法では求められていない。訓練済み労働者への7%上乗せも法定の下限ではないが、既存の労働契約や賃金規程に書いてある場合はそのまま実施する
Tếtボーナスの予算を初年度から確保する。1ヶ月分を一つの目安として見込み、就業規則に支給方針を記載する。ただし「確約」と読める表現は避け、業績連動の余地を残す
残業管理の仕組みを導入する。月40時間・年200時間の上限を自動チェックする勤怠管理システムの導入を検討
駐在員の給与スプリットは赴任前に設計する。PIT、社会保険、移転価格の三者を総合的に考慮した設計を税務専門家に依頼
労働管理台帳(Sổ quản lý lao động)を整備する(Labor Code 2019第12条第1項)。労働監査で提示を求められるのはこれ。開業時から正確な記録を開始する
最低賃金の改定に備え、年末に翌年の人件費を再計算する。改定は毎年あるとは限らないが、引き上げられた年は基本給だけでなく、残業手当、社会保険料、退職手当にも連動して影響する
賃金明細を毎回従業員に通知する仕組みを構築する(Labor Code 2019第95条第3項)。賃金・時間外賃金・深夜賃金・控除の内容と金額を記載する。会計ソフトの給与モジュールで自動化しておくと漏れにくい
残業の割増率(150%/200%/300%)を正確に計算する仕組みを導入する。特に祝日残業の300%は計算ミスが起きやすいため、システム化が望ましい
「日本の常識」も「ネットの古い解説」も一度リセットする。ボーナスは法律ではなく文化の側にあり、残業には同意と上限があり、賃金テーブルは届出ではなく公開が義務——出発点が日本と違うことを前提に制度設計する
参照時点と主要根拠法令
本記事は2026年3月時点の調査に基づき、2026年8月に条文の確認を行っています。法令は改正されるため、実務の判断は現行の一次資料で確認してください。
主要根拠法令: Labor Code 2019(法律45/2019/QH14。第12条・第63条・第91条・第93条・第94条・第95条・第104条)/Labor Code 2012 第93条(旧法・廃止)/Decree 293/2025/ND-CP(2026年地域別最低賃金)/Decree 74/2024/ND-CP(廃止)/Decree 38/2022/ND-CP/Decree 90/2019/ND-CP/Decree 145/2020/ND-CP/Decree 49/2013/ND-CP(廃止)/Decree 12/2022/ND-CP(労働分野の行政処罰。2026年9月10日からDecree 283/2026/ND-CPが置き換える)/Decree 73/2024/ND-CP・Decree 161/2026/ND-CP(共通最低賃金)/社会保険法 41/2024/QH15/Decree 128/2025/ND-CP(省庁再編に伴う所管整理)



