はじめに
ベトナムに駐在員を送り出す。あるいは、現地法人を立ち上げて自分が赴任する。その第一歩でまず向き合うことになるのが、ワークパーミット(労働許可証 / Giấy phép lao động。以下WP) の取得手続きだ。免除されるケースもあるが、免除に当たるかどうかを判断するところから話は始まる。
日本では、外国人が働くために必要なのは「在留資格」。入管に申請して許可が下りれば就労できる。しかしベトナムでは構造がまったく異なる。ワークパーミットとビザ(滞在許可)は完全に別の手続きであり、どちらも揃わなければ合法的に働けない。
さらに厄介なのは、「出張」と「就労」の境界線だ。日本から技術指導のために1週間だけベトナムに来る。それだけでもワークパーミットが必要になりうる。「ちょっと現場を見に来ただけ」という感覚は、ベトナムでは通用しない。
2025年8月に施行された Decree 219/2025/ND-CP により、ワークパーミット制度は大きく変わった。手続きの簡素化、経験要件の緩和、免除カテゴリーの拡大など、外国人にとっては追い風となる改正だ。しかし制度が変わったことを知らずに旧制度の情報で準備を進めると、無駄な時間と費用がかかる。
この記事では、2026年時点の最新制度に基づいて、ワークパーミットの取得手続き、必要書類、免除要件、そして日本人が陥りやすい落とし穴を徹底的に解説する。
第1章 ワークパーミットとは何か
ベトナムで外国人が働くための法的要件
ベトナムで外国人が就労するための法的根拠は、Labor Code 2019(Law No.45/2019/QH14) の第151条〜第158条にある。原則として、ベトナムで働くすべての外国人はワークパーミットを取得しなければならない。
ここで重要なのは、ワークパーミットの申請義務は外国人本人ではなく使用者(企業)にあるという点だ。日本では外国人本人が入管に在留資格を申請するケースが多いが、ベトナムでは企業が全面的に責任を負う。ワークパーミットなしの外国人を働かせた場合、企業に対してVND 3,000万〜7,500万(約15万〜37万円。本記事の円換算はすべて2026年3月時点の為替を目安にした概算)の罰金が科され、法人の場合はこれが2倍になる。
4つの就労カテゴリー
ベトナムで就労する外国人は、以下の4つのカテゴリーのいずれかに分類される必要がある。
管理者(Nhà quản lý) は、企業の取締役、GM(ゼネラルマネージャー。現地法人の総責任者)、部門長など管理職のポジションに就く者。
経営者(Giám đốc điều hành) は、法定代表者や支店長など、法的な代表権を持つ者。
専門家(Chuyên gia) は、大学卒業以上の学歴があり、当該分野での実務経験が2年以上(2025年8月の改正で3年から緩和)ある者。金融・科学技術・デジタルトランスフォーメーションなどの優先分野では1年以上で足りる。
技術者(Lao động kỹ thuật) は、実務経験2年以上かつ訓練期間1年以上がある者。訓練なしの場合は実務経験3年以上(旧5年から緩和)が必要。
この分類は単なる形式ではない。申請書類に記載する職種分類を誤ると、審査で差し戻される。自分がどのカテゴリーに該当するかを事前に明確にしておくことが重要だ。
第2章 申請手続き — Decree 219で何が変わったか
旧制度と新制度の比較
2025年8月7日に公布・施行された Decree 219/2025/ND-CP は、それまでの Decree 152/2020/ND-CP(Decree 70/2023/ND-CP による改正を含む)を置き換えた。旧制度を「Decree 152」とだけ覚えていると、70/2023の段階ですでに緩和されていた論点と、219で初めて変わった論点の区別がつかなくなる。主な変更点を整理する。
| 項目 | 旧制度(Decree 152) | 新制度(Decree 219) |
|---|---|---|
| 専門家の経験要件 | 3年以上 | 2年以上(優先分野1年) |
| 技術者の経験要件 | 5年以上(訓練なし) | 3年以上 |
| 申請手続き | 需要報告とWP(ワークパーミット)申請が別々 | 1回の申請で同時処理 |
| 処理期間 | 最大20営業日 | 10営業日以内 |
| 免除カテゴリー | 14類型 | 15類型 |
| 募集通知 | 当時のMOLISAポータル掲載義務 | 自社サイト等で可 |
| 申請方法 | 紙ベース中心 | オンライン提出の整備(持参・郵送・代行も可) |
申請の流れ(3ステップ)
ステップ1:外国人雇用の需要報告と募集
企業はまず、「なぜ外国人を雇う必要があるのか」を説明する需要報告書を作成する。同時に、公共プラットフォームまたは自社ウェブサイトで募集通知を掲載する。掲載後5日以上の期間が必要だ。
旧制度では当時のMOLISA(労働・傷病兵・社会省)のポータルサイトへの掲載が義務だったが、Decree 219でこの要件は撤廃された。
なお、このMOLISAという役所はもう存在しない。2025年2月18日の Nghị quyết 176/2025/QH15 による省庁再編でMOLISAは廃止され、その所管は内務省(Bộ Nội vụ) に統合された。新しい体制は2025年3月1日から動いている。省レベルでも労働・傷病兵・社会局(DOLISA)は内務局(Sở Nội vụ) に統合され、外国人労働者の手続きの所管は Decree 128/2025/ND-CP で整理された。旧制度の解説記事に出てくるMOLISA・DOLISAという名前は、現在の窓口を指していない。
ステップ2:書類一式の提出
需要報告とワークパーミット申請を1つのパッケージとして同時提出 できるようになった。これは大きな改善で、旧制度では需要報告の承認を待ってからWP申請という2段階が必要だった。
提出期限は、就労開始予定日の10〜60日前(Decree 219 第22条1項)。
提出先は、就労予定地の公共行政サービスセンター(Trung tâm Phục vụ hành chính công) または国家公共サービスポータルになる。窓口の整理はやや込み入っていて、ワークパーミットの発給・再発給・更新・取消の権限そのものは省級人民委員会(Ủy ban nhân dân cấp tỉnh) にあり、実際にどの機関が処理するかは省級人民委員会が権限委譲を決める(同第4条1項・2項)。だから「◯◯局に出す」と一律には言えず、就労予定地の省ごとに確認することになる。
提出方法はオンラインだけではない。直接持参、公益郵便サービス、代行業者、委任による提出も条文上認められている(同第22条1項)。「オンラインでなければ受け付けない」と説明されることもあるが、条文からはそこまで読めない。
ステップ3:審査と発給
完全な書類を受領した日から10営業日以内に、当局がワークパーミットを発給する(同第22条3項)。発給しない場合は3営業日以内に理由を付した回答が返る。不備がある場合は差し戻しとなるため、書類の完全性が重要だ。
必要書類のチェックリスト
ワークパーミット申請に必要な書類は以下の通り。
申請書:所定フォームに記入
無犯罪証明書(犯罪経歴証明書):発行元を取り違えやすい書類だ。警察庁が窓口ではなく、住民登録地を管轄する都道府県警察本部の鑑識課に本人が出向いて申請する。警察署や交番では受け付けてもらえない。証明書は「◯◯県警察本部長」名義で発行される。交付までは都道府県によっておおむね1〜3週間(大型連休や年末年始をまたぐとさらに延びる)。ベトナム側では、発給日から申請書の提出日までが6ヶ月以内であることが求められる(Decree 219 第25条4項)。日本にいるうちに動いておきたい書類だ。
なお、すでにベトナムに滞在している人向けには、Decree 219 第6条3項で新しい道が用意された。使用者が本人の委任を受けて、ベトナムの司法履歴票(Phiếu lý lịch tư pháp)の発給申請とワークパーミット申請を国家公共サービスポータルで一括して出せる。この一括申請を使う場合、上の6ヶ月ルールは適用されない。
健康診断書:発給から12ヶ月以内のものが有効。ここに条件が付いている。外国の医療機関が発行した健康診断書は、ベトナムと当該国・地域との間に相互承認の条約または取決めがある場合に限って使える(Decree 219 第25条2項)。日本とベトナムの間にこの取決めがあるかどうかは、本記事の参照時点では確認できなかった。日本の病院で受けたものが通らず受け直しになるリスクを避けるなら、ベトナム国内の指定医療機関で受けておくのが安全だ。
学歴証明書:大学卒業証書のコピー。下記の認証手続きを通す。
職歴証明書:前職の在職証明書で、カテゴリーに応じた年数の経験を証明するもの。これも下記の認証手続きを通す。
パスポートコピー:公証付き。有効期限に十分な残存期間があること。
証明写真:4×6cm、白背景、6ヶ月以内に撮影したもの。
雇用契約書または派遣命令書:日本の親会社から派遣される場合は派遣命令書。
日本で発行された書類の認証は、2026年9月11日で切り替わる
ここは旧情報と先走った情報の両方が出回っていて、混ざりやすい。
Decree 219 第5条1項は、ワークパーミットの申請・再発給・更新に使う書類のうち外国で発行されたものは領事認証(hợp pháp hóa lãnh sự)を経なければならないと定めている。条約や相互主義によって領事認証が免除される場合を除く、という但書は付いている。そして同条2項で、領事認証を受けた書類はベトナム語に翻訳して公証することが求められる。
では、その「条約による免除」に当たるのがアポスティーユではないか、という話になる。ベトナムは2025年12月31日にハーグ・アポスティーユ条約の加入書を寄託した。ただし、ベトナムについて条約が発効するのは2026年9月11日で、そこが境目になる。
2026年9月10日までに提出する日本発行の書類は、アポスティーユではなく、在日ベトナム大使館・総領事館での領事認証を経たうえで、ベトナム語訳と公証を付けることになる。
発効日より前の時期について「日本の外務省でアポスティーユを取れば済む」と書いてある解説は、発効日を先取りしている。無犯罪証明書も、卒業証書も、在職証明書も、扱いは同じだ。書類ごとにアポスティーユと領事認証を使い分ける、という整理を見かけることがあるが、制度上はどちらか一方しか適用されない。
2026年9月11日以降はアポスティーユに一本化される見込みだが、加入に異議を述べた国との間では条約が発効しないという仕組みがある。日本との間で実際にどう運用されるかは、その時点の一次資料で確認したい(この記事の参照時点は2026年8月)。
第3章 有効期間と更新 — カレンダー管理が命
有効期間は最長2年
ワークパーミットの有効期間は最長2年間。ただし、労働契約(または派遣期間)の残存期間を超えることはできない。例えば、1年間の派遣命令であれば、ワークパーミットも最長1年となる。
更新の窓口期間は狭い
更新申請は、有効期限の45日前から10日前までの間に行う(Decree 219 第28条1項)。46日以上前では早すぎて受け付けてもらえず、残り10日を切ると受け付けてもらえない。ここを外すと更新ではなく新規申請のやり直しになる。免除確認証の更新も同じく10〜45日前だ。
旧制度の解説には「5〜45日前」と書かれているものがあるが、これはDecree 152時代の数字だ。手前の期限が5日から10日に動いている分、体感より締切が早い。
実務上は、30〜45日前に申請しておくのが安全だ。省庁再編で窓口となる部署が変わっており、省によっては処理に時間がかかることもあるため、余裕を持ったスケジュールにしておきたい。
更新は1回のみ
意外と知られていないが、ワークパーミットの更新は1回しかできない。更新期間も最長2年なので、最初の発給から最長4年でいったん失効する。4年を超えて継続就労する場合は、新規にワークパーミットを取得し直す必要がある。
この「1回限り」のルールを知らずに、更新を繰り返せると思い込んでいるケースは多い。
第4章 免除要件 — ワークパーミットが不要なケース
15の免除カテゴリー
Decree 219は免除カテゴリーを14から15に拡大 した。すべてを列挙すると煩雑なので、日系企業に関連する主要なものを解説する。
LLC出資者(出資額VND 30億以上):有限責任会社の出資者で、出資額がVND 30億(約1,500万円)以上の場合、ワークパーミットが免除される。ただし「免除確認証(Work Permit Exemption Certificate)」の取得は別途必要だ。
90日ルール(短期滞在):管理者・専門家・技術者が、暦年(1月〜12月)で累計90日未満のベトナム滞在であれば、ワークパーミットが不要。使用者が就労開始の3営業日前までに当局に届出を行えばよい。
3ヶ月未満のサービス提供:技術的問題の解決やサービスの提供のために、3ヶ月未満ベトナムに入国する場合は免除対象。事前届出が必要。
社内転勤(ICT):海外の親会社や関連会社から転勤する場合で、一定の要件を満たすケース。
ベトナム人の配偶者:ベトナム国籍者と婚姻し、ベトナムに居住している場合。
「免除=手続き不要」ではない
ここで最も重要な注意点がある。ワークパーミットが「免除」されても、手続きがゼロになるわけではない。多くの免除カテゴリーでは、「免除確認証」の取得や「事前届出」が必要だ。
免除確認証なしで就労させた場合も、ワークパーミット違反と同様の罰則が科される可能性がある。「免除だから何もしなくていい」という誤解は非常に危険だ。
第5章 TRC(一時滞在証)— ワークパーミットの次のステップ
ワークパーミットだけでは完結しない
ワークパーミットを取得しても、それだけではベトナムに長期滞在できない。合法的に滞在するためには、ビザまたは一時滞在証(TRC / Thẻ tạm trú) が必要だ。
TRCはワークパーミットに基づいて発給される身分証で、有効期間中はベトナムへの出入国が自由になる。ビザのように毎回取得し直す必要がないため、頻繁にベトナムと日本を行き来する駐在員には不可欠だ。
TRC取得の流れ
- ワークパーミットを取得する
- それを根拠に LĐ2 ビザを取得してベトナムに入国する
- 入国後、TRCを申請する。TRCの記号はビザの記号と同じになる(入国出国法 Law No.47/2014/QH13 第36条2項b。同法は Law No.51/2019/QH14 で改正されている)
- 処理期間は、必要書類が揃った日から5営業日以内が法定(同法第37条3項)。実務では書類の補正などでこれより長くかかることがある
- LĐ1・LĐ2のTRCの有効期間は2年以内(同法第38条5項)
ビザの記号は、ワークパーミットの要否でそのまま分かれる。ワークパーミットを持つ人は LĐ2、ワークパーミットが免除されて免除確認証を持つ人は LĐ1 だ(同法第8条16項・16a項)。
ここで混同されやすいのが DN1・DN2 の商用ビザだ。DN1はベトナムの法人格を持つ企業・団体と業務を行うために入国する外国人、DN2はサービスの売り込みや商業拠点の設立などのために入国する外国人に出るもので(同法第8条8項・8a項)、ワークパーミットとは結びついていない。そして重要なのは、DNビザではTRCを申請できないという点だ。TRCの発給対象として条文に列挙されているのは LV1・LV2・LS・ĐT1・ĐT2・ĐT3・NN1・NN2・DH・PV1・LĐ1・LĐ2・TT で、DN1・DN2 は入っていない(同法第36条1項b)。「まずDNビザで入って、あとからTRCに切り替える」という段取りは、そもそも成立しない。
家族の帯同
駐在員の家族(配偶者・子女)は、TTビザ(帯同ビザ)でベトナムに滞在できる。TRCを持つ駐在員がスポンサーとなり、家族のTRC(TT種別)を申請する。
細かいが、TTのTRCは3年以内で、駐在員本人のLĐ2(2年以内)とは上限が違う(同法第38条4項)。ただしTRCはパスポートの残存期間より30日以上短く発給されるため(同条1項)、家族のパスポート更新のタイミングによっては上限まで出ないことがある。
第6章 駐在員と現地採用 — 手続きの違い
「誰が雇用しているか」で手続きが変わる
日本の親会社から派遣される駐在員と、ベトナム法人に直接雇用される現地採用では、ワークパーミット申請の根拠書類が異なる。
駐在員の場合:日本の親会社が発行する「派遣命令書」が根拠書類となる。給与は日本とベトナムで分割払い(スプリット)されることが多い。派遣命令書には、派遣期間、職位、業務内容を明記する必要がある。
現地採用の場合:ベトナム法人との労働契約が根拠書類となる。給与はベトナム法人から全額支払われる。
どちらのケースでも、ワークパーミットの申請手続き自体は基本的に同じだが、添付書類と給与・税務の取り扱いが異なる。
第7章 罰則 — 知らなかったでは済まされない
企業と個人の両方が罰せられる
ベトナムの労働違反に対する罰則は、Decree 12/2022/ND-CP の第32条に規定されている。ワークパーミット違反は、企業と外国人個人の双方に独立して罰則が科される。
外国人個人への罰則:
- ワークパーミットなしの就労:罰金VND 1,500万〜2,500万(約7.5万〜12.5万円)
- 追加処分として国外退去(強制送還)
企業への罰則:
- 1〜10名の違反:罰金VND 3,000万〜4,500万
- 11〜20名の違反:罰金VND 4,500万〜6,000万
- 21名以上の違反:罰金VND 6,000万〜7,500万
- 法人の場合、上記罰金額が2倍に
- 追加処分として1〜3ヶ月の外国人雇用停止
「日本人が痛い目を見る」ワースト3
ワースト1:出張の感覚で来て違法就労 「1週間だけ工場を見に行く」「短期の技術指導」——これが「就労」とみなされれば、ワークパーミットが必要だ。90日ルール(暦年累計90日未満の短期滞在)を活用すれば事前届出だけで済むが、届出すら行っていないケースが非常に多い。当局の抜き打ち検査で発覚すると、企業にVND数千万の罰金が科される。
ワースト2:更新手続きの「窓口期間」を逃す ワークパーミットの更新は有効期限の45日前から10日前までという狭い期間でしか受け付けてもらえない。「まだ余裕がある」と思っていたら窓口期間を過ぎてしまい、新規申請をし直す羽目になる。新規申請には再び無犯罪証明書などの書類一式が必要で、数ヶ月のロスになる。
ワースト3:「免除だから何もしなくていい」という誤解 LLC出資者や90日ルールの対象者は確かにワークパーミットが免除されるが、免除確認証の取得や事前届出は必要だ。「免除=完全に手続き不要」と思い込んで何もしないと、無許可就労と同じ扱いになりうる。
日本との違い — 「日本の常識が通じない」ポイント
在留資格vs二重の許可制度:日本では「在留資格」1つで就労と滞在の両方がカバーされるが、ベトナムではワークパーミット(就労許可)とビザ/TRC(滞在許可)が別々の制度。片方だけでは合法的に働けない。
申請主体が企業:日本では外国人本人が入管に申請するのが一般的だが、ベトナムでは使用者(企業)が申請義務を負う。企業のコンプライアンス責任が格段に重い。
経験年数の証明が厳格:日本の就労ビザでは「関連する業務経験」の証明は比較的柔軟だが、ベトナムでは在職証明書による明確な経験年数の証明が求められる。前職の会社に証明書を発行してもらう必要があり、退職済みの会社に依頼するのは意外と手間がかかる。
更新回数の制限:日本の在留資格は何度でも更新できるが、ベトナムのワークパーミットは更新1回のみ。長期駐在者には、どこかで新規取得をやり直す時期が来る。
ここが変わった(2025〜2026年)
Decree 219/2025の施行(2025年8月7日)
最大の変化は Decree 219/2025/ND-CP の施行だ。旧Decree 152(Decree 70/2023による改正を含む)を置き換え、以下の改善がなされた。
- 申請の一本化:需要報告とWP申請を1回で同時提出可能に
- 処理期間の短縮:最大20営業日→10営業日
- 経験要件の緩和:専門家は3年→2年、技術者は5年→3年
- 免除カテゴリーの拡大:14→15類型。金融・科学技術・デジタル分野の新設
- オンライン申請の整備:国家公共サービスポータルからの提出に対応(持参・公益郵便・代行・委任による提出も引き続き可能)
- LLC出資者の免除要件明確化:出資額VND 30億以上
- 更新の窓口期間の変更:Decree 152時代の「5〜45日前」から10〜45日前へ
これらの変更は外国人にとって明確に有利であり、ベトナム政府が外国人人材の受け入れを促進する方向に動いていることを示している。
注意点
ただし、Decree 219の施行前に取得したワークパーミットは有効期限まで引き続き有効。次回の更新・新規申請からDecree 219が適用される。旧制度で取得したWPを慌てて取り直す必要はない。
まとめ:やっておくべきこと
赴任3ヶ月前に書類準備を開始する。無犯罪証明書は都道府県警察本部の鑑識課へ本人が出向いて申請し、交付まで1〜3週間。学歴証明・職歴証明は、2026年9月10日までは在日ベトナム大使館・総領事館での領事認証とベトナム語訳・公証まで済ませておく。健康診断書はベトナム国内の指定医療機関で受けるのが安全
自分のカテゴリーを明確にする。管理者・経営者・専門家・技術者のどれに該当するかを事前に確認し、必要な経験年数の証明書を準備する
派遣命令書は具体的に書く。職位、業務内容、派遣期間を明確に記載し、カテゴリーとの整合性を確保する
90日ルールを理解しておく。短期出張者は暦年累計90日未満であれば事前届出のみで対応可能。ただし届出は就労開始の3営業日前までに行うこと
免除の場合も手続きを確認する。LLC出資者や短期滞在者は免除対象だが、免除確認証の取得や事前届出を忘れないこと
WP取得後すぐにLĐ2ビザとTRCを申請する。ワークパーミットだけでは長期滞在できない。DNビザではTRCが取れないので、入国に使うビザの記号を最初から間違えないこと
更新カレンダーを設定する。有効期限の45日前にアラートを設定し、更新の窓口期間(45日前から10日前まで)を逃さないようにする
更新は1回しかできないことを覚えておく。最初の発給から4年目には新規申請が必要になるため、書類の再準備を計画に入れておく
Decree 219の改正内容を把握する。2025年8月以降の新制度では申請手続きが簡素化されているため、旧制度の情報に基づいた準備は見直すこと
現地の法律事務所と連携する。特に初回の申請は専門家のサポートを受けることで、差し戻しリスクを減らせる
参照時点と主要根拠法令
本記事は2026年3月時点の調査に基づいています。法令は改正されるため、実務の判断は現行の一次資料で確認してください。無犯罪証明書・書類認証・ビザ記号・処理期間については2026年8月に一次資料で再確認しています。円換算は2026年3月時点の為替を目安にした概算です。
主要根拠法令: 労働法(Law No.45/2019/QH14)第151条〜第158条/Decree 219/2025/ND-CP(2025年8月7日公布・施行。Decree 152/2020/ND-CP および Decree 70/2023/ND-CP による改正を置き換え)/Decree 128/2025/ND-CP(内務分野の権限分担・地方分権)/Decree 12/2022/ND-CP 第32条(労働分野の行政処罰)/入国出国法(Law No.47/2014/QH13、Law No.51/2019/QH14 による改正)第8条・第36条・第37条・第38条/Nghị quyết 176/2025/QH15(2025年2月18日、政府組織再編)/1961年ハーグ・アポスティーユ条約(ベトナムについて2026年9月11日発効)



