先週、テンポラリ―レジデンスカードの期限とともに期限の切れた免許証の書き換えに行ったところ「原材料不足で届くのは2か月後です。仮免許は発行できません」と言われたのは別の記事に書いた通りです。
私の心配は、本当に2か月で届くのか?ということなので、GeminiのDeepReserchで現在の状況を調べてもらったのをサマリー記事にしました。
最初、ハノイの免許センターに行ったときに怒っている人がたくさんいたのは、こういう状況が一因だったかもしれません。
パーフェクトストーム(最悪の事態)な免許発行の遅延問題
2025年6月11日現在、ベトナムにおける運転免許証の発行遅延問題は、依然として多くの国民や在留外国人にとって深刻な悩みであり続けています。物理的な免許証カード(PETカード)の慢性的な不足に端を発したこの混乱は、解決が約束されながらも度重なる延期を繰り返し、代替策であるはずの電子身分証明アプリ「VNeID」の有効性にも不透明感が漂っています。
さらに、2025年に入り、発行権限の公安省への移管、免許証ポイント制度の導入、新デザインの免許証への切り替えといった大変革の波が次々と押し寄せています。この状況は、まさに「パーフェクトストーム(最悪の事態)」の様相を呈しており、申請者はいつになったら正規の免許証を手にできるのか、不安な日々を過ごしています。
本記事では、この深刻化する問題の根本原因を多角的に分析し、当局の公式発表と現場の実態との間に横たわるギャップを検証します。また、VNeIDの可能性と限界、そして2025年から2026年にかけて施行される新たな規制が免許証発行に与える影響を詳述し、混乱の渦中にいる申請者が今何をすべきか、現実的な短期・中期展望と実践的なガイダンスを提示します。
問題の経緯
根本的な原因(2024年中頃): 免許証カード(PET原紙)や印刷用インクを供給するための前回の契約が切れ、次の供給業者を選定するための入札手続きが、当時管轄していたベトナム道路総局(交通運輸省傘下)で大幅に遅れていました。この時点で、将来的な供給不足の「火種」はすでに生まれていました。
問題の表面化(2024年8月~9月): 全国の交通運輸局(Sở Giao thông Vận tải)で、保管していたカードの在庫が底を突き始めました。試験に合格した人や更新を申請した人に対して、物理的なカードを印刷・発行できない事態が各地で発生し、「免許証が数週間、数ヶ月経っても届かない」という声がメディアで報じられるようになりました。
問題の深刻化(2024年10月以降): VNeID(電子身分証明アプリ)への統合を急ぐ人や、古い紙の免許証の有効期限に関する誤解から更新を急ぐ人が殺到し、需要が爆発的に増加しました。供給が完全に止まっている中で申請だけが積み上がり、未発行の免許証は数十万件規模に膨れ上がりました。
第1章:終わらないボトルネック - なぜ免許証は届かないのでしょうか?
運転免許証の発行がこれほどまでに滞る背景には、単一ではない、複数の根深い問題が複雑に絡み合っています。その核心にあるのが物理的なカード自体の不足ですが、それを行政の構造的な問題がさらに悪化させています。
1.1. 中核的問題:PETカード原紙の慢性的な供給不足
発行遅延の最大の直接的原因は、免許証の印刷に使用されるPET(ポリエチレンテレフタレート)カード原紙の深刻かつ継続的な不足です。これは一部地域や一時的な現象ではなく、全国の多くの省で発生している構造的な問題です。
原因1:脆弱な調達プロセス 公式情報によれば、問題はカード原紙だけでなく、印刷に不可欠な特殊インクやリボンといった関連資材の調達・入札プロセスが大幅に遅延していることにあります。ベトナム道路総局は2025年向けの新規入札を継続していますが、これは過去の供給がいかに逼迫していたかを裏付けています。さらに、このカード原紙は日本からの輸入に依存しているとの情報もあり、国際的なサプライチェーンの複雑性やリードタイムの長期化といった、国内ではコントロールしきれない外部要因の影響を直接受けやすい脆弱な構造となっています。当局の対応は、不足が深刻化してから新規入札を開始したり、既存契約の付帯条項を緊急締結したりといった事後対応に終始しており、計画的な供給体制が構築できていない実態が浮き彫りになっています。
原因2:「想定外」とされた需要の急増 当局は、新規取得および更新申請が予測を大幅に上回ったことも原因の一つに挙げています。例えば、ホーチミン市では一時期、申請数が80%も増加しました。しかし、この需要急増は決して偶然ではありません。政府が推進する電子身分証明アプリ「VNeID」へのデータ統合を目的として、旧式の紙製免許証からPETカードへの切り替え需要が殺到したことや、「2025年1月1日以降、すべての旧免許証が無効になる」という誤解が広まったことが大きな要因です。政府自身の政策が生んだ需要を「想定外」と総括する姿勢は、行政機関による需要予測や計画策定能力に疑問を抱かせます。
1.2. 複合的要因:行政移管と制度的ハードル
PETカード不足という物理的な問題に加えて、行政システムそのものが抱える課題が状況をさらに複雑にしています。
権限移管に伴う混乱 2025年3月1日、運転免許証の発行・管理業務が交通運輸省から公安省(警察)へ移管されるという、大規模な行政改革が断行されました。このような大規模な権限移管は、システムの引き継ぎ、人員の再配置、業務プロセスの標準化など、本質的に一時的な混乱や非効率を伴います。交通運輸省は「移管が混乱を引き起こさない」と明言していましたが、実際にはクアンビン省で移行期間中に免許試験が一時停止されるなど、現場レベルでの影響は既に報告されています。危機的な供給不足の最中に、この大きな行政改革と後述する新制度の導入が重なったことは、問題解決を遅らせる一因となっている可能性は否定できません。
官僚的非効率性 ベトナムの行政システムに根深く存在する官僚的な非効率性も、この問題の根底にあります。煩雑な手続き、縦割り行政による連携不足などが、調達から発行までの各プロセスを遅延させる温床となっているのです。危機的状況への対応が後手に回りがちな体質も、国民の不利益を長期化させる結果を招いています。
第2章:約束と現実の乖離 - 公式発表は信頼できるのでしょうか?
申請者の不満と不信感を増幅させているのが、当局の公式発表と、現場で体験する現実との大きな隔たりです。解決スケジュールの度重なる延期は、当局の発表に対する信頼性を著しく損なっています。
2.1. 繰り返された「解決宣言」の変遷
この問題に対する当局の楽観的な見通しは、ことごとく裏切られてきました。
2024年10月: ベトナム道路総局は「10月末までに十分な原紙が供給される」と発表しましたが、未達成に終わりました。
2024年11月: 同局は再び「12月初旬までに滞貨を一掃するのに十分な原紙を供給する」と約束しました。しかし、部分的な供給はあったものの、全国的な不足は解消されませんでした。
2025年1月: 交通運輸省は「2025年初頭には問題は解決される見込み」と発表しました。しかし、2025年6月現在も、完全な正常化には至っていません。
例えば、ホーチミン市では2025年1月初旬時点で10万件以上の未発行免許証が滞留し、職員が午前6時から午後9時まで19台の印刷機をフル稼働させるという、まさに現場の奮闘で対応している状況が報じられました。
2.2. 信頼性のギャップがもたらすもの
度重なるスケジュールの変更は、申請者が「2ヶ月で発行される」という窓口担当者の言葉を素直に信じられない状況を生み出しています。約束が守られないたびに、公式発表と国民の経験との間の信頼性のギャップは広がる一方です。当局が挙げる「想定外の需要」や「調達の複雑性」といった理由は、国民の視点から見れば、結局のところ「行政が自らの責務を果たせなかったことの言い訳」と受け取られかねません。この信頼の欠如こそが、社会的な不安を煽る大きな要因となっています。
第3章:救世主か、絵に描いた餅か - VNeID電子免許証の可能性と限界
物理カードの供給が滞る中、一筋の光明として期待されているのが、スマートフォンアプリを利用した電子身分証明「VNeID」です。しかし、その活用にはいくつかの大きな壁が存在します。
3.1. VNeID電子免許証の法的有効性と実用性
まず明確にすべきは、VNeIDアプリ上で認証・表示された運転免許証情報は、法的に有効であるという点です。2024年6月1日に施行された交通運輸省通達05/2024/TT-BGTVTにより、交通検問時に物理的なPETカードの代わりに提示することが公式に認められています。したがって、VNeIDに免許情報が正常に統合されていれば、物理カードを不携帯でも無免許運転にはあたりません。
しかし、問題は「どうすればVNeIDに統合できるのか」という点にあります。多くの申請者が、旧式の9桁身分証明書(CMND)と新しい12桁の国民ID(CCCD)の情報不一致や、そもそも免許証データが国家データベースに同期されていないといった理由で、統合エラーに直面しています。
3.2. 最大の障壁:「発行前」のVNeIDは利用できるのでしょうか?
申請者にとって最も切実な疑問は、「運転免許試験に合格した後、物理カードを受け取るまでの間、VNeIDを仮の免許証として使えるのか?」という点でしょう。この点について、行政機関の間で見解が真っ二つに割れており、混乱の極みとなっています。
ホーチミン市当局のスタンス(楽観的見解): ホーチミン市交通運輸局は、公安省国家人口データセンター(VNeIDの管理者)と共に、試験合格後すぐにVNeIDにデータを同期させ、暫定的に利用可能にすることは「実行可能である」との見解を示しました。これが実現すれば、物理カードの遅延は大きな問題ではなくなります。
ベトナム道路総局のスタンス(悲観的・現状の公式見解): 一方、中央機関であるベトナム道路総局は、これを「不可能である」と断言しています。その理由は、VNeIDへの統合には、物理カードが印刷された際に初めて付与される「原紙番号」や「発行日」といったデータが必須だからです。つまり、①物理カードの印刷 → ②交通運輸省(現・公安省)データベースへの登録 → ③公安省の全国民データベースへの同期 → ④VNeIDへの表示 というプロセスが現在のシステムアーキテクチャであり、物理カードの存在がデジタル化の大前提となっているのです。
この矛盾した見解は、中央と地方、あるいは省庁間の連携不足や技術的限界を示唆しています。2025年6月現在、残念ながら、国のシステム全体としては道路総局の見解が優勢であり、VNeIDは物理カード発行前の代替手段としては機能していないのが実情です。
3.3. 法の空白地帯:仮免許なき待機期間
この状況をさらに悪化させているのが、多くの地域で「紙の仮免許証」が発行されていないという事実です。これにより、試験に合格した新規免許取得者は、物理カードが届かず、VNeIDも使えない「法的に無防備な期間」に置かれることになります。免許受け取りのための受付票(Giấy Hẹn)は、交通検問時に有効な免許証とは見なされないため、この期間に運転すれば罰金の対象となるリスクを負います。これは、行政自身の遅延によって国民が不利益を被るという、極めて不条理な状況です。
第4章:大改革の波 - 2025年~2026年、免許制度はこう変わります
供給遅延の混乱が収まらない中、ベトナムの運転免許制度は歴史的な大変革期に突入しています。これらの変更は、長期的には効率化を目指すものですが、短期的にはさらなる混乱要因となる可能性があります。
4.1. 新しい免許証デザインと段階的導入
免許証のデザインが刷新され、段階的に導入されます。
様式1(2025年1月1日~12月31日): 現行のデザインに近い黄土色の背景を持つPETカードが、現在発行されています。
様式2(2026年1月1日~): 背景がピンク色の模様入りに大きく変更され、QRコードの位置なども改訂される予定です。
この新デザインへの移行、特に2026年からの様式2の導入には新たな資材の調達や印刷システムの更新が必要となります。当局が様式2の導入を2026年に設定したのは、まさにこの新たな入札プロセスに時間が必要だからであり、既存の調達問題が解決されない限り、新カードの展開も同様の遅延に見舞われるリスクをはらんでいます。
4.2. 発行権限の公安省(警察)への完全移管
前述の通り、2025年3月1日から、免許証の試験・発行・管理の権限が交通運輸省から公安省へ移管されました。これにより、申請や更新の場所が従来の交通運輸局から地域の警察署に変わるなど、手続きに変化が生じています。将来的にはコミューン( xã)レベルの警察署で更新が可能になる可能性も示唆されています。
4.3. 運転免許証ポイント制度の導入
2025年1月1日から、日本と同様の運転免許証ポイント制度が開始されました。各免許証には12点の持ち点が与えられ、交通違反を犯すと内容に応じて点数が減点されます。持ち点が0点になると免許は停止となり、最低6ヶ月後に理論試験を再受験して合格しなければ、免許を回復することはできません。
ベトナム運転免許証規制に関する2025年の主要な変更点
2025年は、ベトナムの運転免許制度にとって大きな変革の年となっています。主な変更点は以下の通りです。運転免許証ポイント制度の導入(2025年1月1日施行)
各免許証に12点の持ち点が与えられ、交通違反により減点されます。持ち点が0点になると免許は停止となります。
新しい免許証様式(様式1)の導入(2025年1月1日施行)
現行のデザインに類似した、黄土色の背景を持つPETカードが導入されました。
発行権限の公安省(警察)への移管(2025年3月1日施行)
免許証の試験、発行、管理に関する業務が交通運輸省から公安省(警察)へ完全に移管されました。
各種関連規則の変更(2025年3月1日施行)
免許区分の定義変更や、有効な自動車免許を保有する場合のバイク理論試験免除などが含まれます。
新しい免許証様式(様式2)の導入予定(2026年1月1日予定)
背景がピンク色の模様入りになるなど、デザインが大幅に変更された新しいPETカードが導入される予定です。
第5章:私たちはどうすればいいのか? - 申請者のための実践的サバイバルガイド
この複雑で不透明な状況下で、私たち申請者はどのように対応すればよいのでしょうか。短期・中期的な見通しと、具体的なアクションプランをまとめました。
5.1. 短期・中期の見通し
短期的な見通し(今後3~6ヶ月): PETカードの供給状況は徐々に改善に向かう可能性はありますが、全国的な滞貨の完全な解消にはまだ時間がかかると予想されます。特に3月に実施された公安省への大規模な行政移管に伴う手続き上の混乱は、しばらく続く可能性があります。「2ヶ月で発行します」といった窓口での説明は、あくまで目標と捉え、過度な期待はせずに待つ姿勢が賢明です。
中期的な予測(2025年後半~2026年): 中期的には、当局が今回の危機から教訓を得て、より安定的で計画的な調達システムを構築できるかが焦点となります。2026年に予定されている新しい「様式2」免許証へのスムーズな移行が、その試金石となるでしょう。また、VNeIDが物理カード発行前の代替手段として機能するよう、システムがアップグレードされるかどうかも注目されますが、即時の実現は難しいかもしれません。
5.2. 申請者のための実践的アクションプラン
情報の確認を怠らない: 「2ヶ月待ち」などと口頭で伝えられた場合は、約束ではなくあくまで目安と理解しましょう。公式な情報は、公安省のウェブサイトや、新しい運転免許証サービスポータル(dvc-gplx.csgt.bocongan.gov.vn)などで定期的に確認することが重要です。
VNeIDの準備を万全に:
ご自身のVNeIDアカウントが、すべての機能を利用できる「レベル2」になっていることを確認してください。
国民IDカード(CCCD)の情報が、他のすべての公的書類と一致しているか、事前に確認しておきましょう。情報の不一致は統合エラーの主な原因です。
物理カードが発行された、またはデータが処理されたとの連絡を受けたら、速やかにVNeIDへの統合を試みてください。
根気強くフォローアップする: 約束された期間を過ぎても免許証が届かない場合は、申請した警察署などの発行機関に問い合わせてください。オンラインポータルで進捗状況を確認できる場合もあります。
物理カードなしでの運転リスクを理解する: VNeIDに免許情報が正常に統合・認証されていれば法的に有効ですが、それが完了していない段階で運転することはリスクを伴います。受付票(giấy hẹn)は免許証の代わりにはならず、罰金の対象となる可能性があることを強く認識してください。
外国人居住者の注意点: 外国免許証からベトナム免許証への切り替え手続きも、同様の遅延の影響を受ける可能性があります。また、日本の免許証への切り替えなど、他国での手続きにベトナムの免許証が必要な場合は、有効期限や手続きの所要期間に細心の注意を払い、早めに行動を開始することが推奨されます。
職業ドライバーの方へ: 運転が職業に不可欠な方にとって、この不確実性は重大な経営リスクです。残念ながら、現状では保証された即時の回避策はありません。VNeIDへの早期統合を目指すと共に、万一の事態に備えたリスク管理が不可欠です。
結論
2025年6月現在、ベトナムの運転免許証発行遅延問題は、単なるPETカードの不足という物理的な現象を超え、国の公共調達プロセスの脆弱性、行政の縦割り構造、そして大規模な制度改革が重なった複雑な構造的問題であることが明らかです。
電子免許証VNeIDは、将来的にはこの問題を解決する切り札となり得ますが、現時点では物理カードの存在を前提としたシステム上の限界を抱えており、万能の解決策とはなっていません。
この混乱期において、私たち申請者にできることは、まず正確な情報を自ら収集し、過度な期待をせずに現実的な対応をすることです。VNeIDアカウントの準備を整え、書類の不備がないかを確認し、行政手続きの遅延という不確実性を前提とした上で、自らの行動計画を立てる必要があります。
当局には、場当たり的な対応ではなく、調達プロセスの抜本的な改革と、国民に対するより一層透明性の高い情報公開が強く求められます。国民の信頼を回復し、この混乱を恒久的に解決するためには、それ以外に道はないでしょう。
個人的結論:私はいつ車を運転できるの?
Geminiに調べてもらって、この問題が最近はじまった問題ではなく、去年の夏ころから始まった問題だとわかりました。1年近く経った今でも、解決されるどころか深刻化しているのを考えると、2か月どころか2年くらい免許なしの生活および仕事を余儀なくされると考えて良いでしょう。
2年後のテンポラリ―レジデンスカードの更新と、免許証の届くのはどちらが早いでしょうか。



