会計コンサル様との打ち合わせで、こんな経験はありませんか?

「社長、関連者間取引における独立企業間価格の妥当性ですが…」
「ベンチマーキング分析の結果、貴社の利益率は四分位レンジから外れる可能性が…」
「そうしないと、大変なことになりますよ」

スクリーンに映し出される、見慣れないグラフと専門用語の羅列。あなたは頷きながらも、こう思っているかもしれません。

「全然わからん。でも任せておけば大丈夫なのだろう…」
「リスクがあることは分かった。でも、具体的に何がどう危険なのか、いまいち腹落ちしていない…」
「いくらかかるんだろうか?」

また、「大変なことになる」ことを本社に知らせようとしても、「移転価格、ああ、問題ないでしょ?」みたいな感じになり、会計コンサルの煽りとは温度が違う。

もちろん私も同じです。この話が難しい最大の理由は、ベトナムの移転価格税制、特にその運用ルールである「政令132号」が、世界的に見ても非常にユニークで、複雑な構造を持っているからです。

第1章:そもそも「移転価格税制」とは何か? – 世界共通の基本ルール

まず、ベトナム特有の話に入る前に、世界中で採用されている「移転価格税制」の基本的な考え方をおさらいしましょう。

一言でいうと、移転価格税制とは「身内びいきの価格設定で、国に納める税金を不当に操作するのはダメですよ」というルールです。

当然、ベトナムの税務当局は、ベトナム法人の利益が不当に低く計算され、ベトナムで納める税金が減ることを最も警戒します。そこで登場するのが、世界共通の大原則「独立企業間価格(Arm's Length Price)」です。

これは、「もし、その取引が全くの他人同士で行われたとしたら、一体いくらの価格になっただろうか?」という考え方です。そして、その価格がフェアであることを証明する責任が、会社側にあるのが重要なポイントです。

…と、ここまでは多くの国で共通する話です。会計コンサルが作成する分厚いレポート(移転価格文書)は、この「証明」を行うためのものです。

しかし、ここからが本題です。ベトナムでは、この証明プロセスに「政令132号」という、恐ろしい「罠」が仕掛けられているのです。

第2章:あなたの会社も狙われる!政令132号、4つの「罠」の正体

「うちはコンプライアンスを重視しているから大丈夫」 そう思った方にこそ、知ってほしい現実があります。架空の企業と共に、その悪夢のシナリオを見ていきましょう。

【ケーススタディ架空企業:ジャパン・プレシジョン・ベトナム(JBVN社)】

  • 事業内容: 日本の親会社から高度な技術供与を受け、ベトナムで「産業用高機能センサー」を製造・販売。

  • 経営状況: 企業努力の末、「営業利益率4.0%」を確保。経営陣は健闘していると考えている。

罠①:「リンゴ」なのに「ミカン」の物差しで測られる理不尽

JBVN社が作っているのは、高い付加価値を持つ「産業用高機能センサー」。しかし当局は、「同じ製造業だから」という理由で、ベトナム国内の一般的な「家電組立工場」や「汎用部品メーカー」を比較対象に選びました。ビジネスモデルが全く違うのに、同じ土俵で利益率を比べられてしまう。これが全ての悲劇の始まりです。

罠②:異常に狭く設定された「ゴールポスト」

国際標準では、比較対象企業の利益率の「25パーセンタイル〜75パーセンタイル」の範囲内なら合格です。しかしベトナムでは、これが「35パーセンタイル〜75パーセンタイル」に狭められています。合格最低点だけが、不当に引き上げられているのです。

罠③:イエローカードなし!一発退場級のペナルティ ←【※ここが最重要ポイントです】

そして、このルールこそが、会計コンサルが「大変ですよ」と繰り返す最大の理由です。その破壊力を、具体的な計算プロセスで見ていきましょう。

【ステップ1:比較対象企業の利益率を確認する】 まず、税務当局が比較対象として選んだベトナム国内の「汎用部品メーカー」10社の営業利益率が、以下のようであったとします。

  • 1位 企業A: 2.5%

  • 2位 企業B: 3.8%

  • 3位 企業C: 4.1% ← 国際標準の合格ライン (25パーセンタイル)

  • 4位 企業D: 4.8% ← ベトナム政令132号の合格ライン (35パーセンタイル)

  • 5位 企業E: 5.2%

  • 6位 企業F: 5.8% ← 中央値(メディアン / 50パーセンタイル)

  • 7位 企業G: 6.5%

  • 8位 企業H: 7.0% ← 上限ライン (75パーセンタイル)

  • 9位 企業I: 7.8%

  • 10位 企業J: 8.2%

【ステップ2:自社の立ち位置を確認する】 このリストに基づくと、政令132号が定める利益率の「合格レンジ」は、4.8% ~ 7.0% となります。 JBVN社の実績である利益率 4.0% は、このレンジを下回っているため「不適切」と判断されます。

【ステップ3:巨額の追徴課税額を計算する】 ここからが最大の「罠」です。税務当局は、不足している利益をレンジの下限である4.8%に修正するのではなく、中央値(メディアン)である5.8%にまで一気に引き上げて課税します。

  • JBVN社の売上高: 1,000億VND(約5億円)と仮定

  • 当局が認定するべき利益率: 5.8% (中央値)

  • JBVN社の実際の利益率: 4.0%

  • 利益の差額: 5.8% - 4.0% = 1.8%

  • 所得の申告漏れと見なされる金額: 1,000億VND × 1.8% = 18億VND

  • 追徴税額(法人税率20%と仮定): 18億VND × 20% = 3.6億VND(約1,800万円)

これが5年前の申告だった場合の、最終的な支払総額

上記の3.6億VNDは、あくまで本来納めるべきだった「本税」に過ぎません。これに加えて、高額な罰金と延滞利息が課されます。仮に、この追徴が5年前の会計年度のものであった場合、支払総額は以下のようになります。

  1. 追徴税額(本税):3.60億VND

  2. 罰金(過少申告加算税): 追徴税額の20% 3.6億VND × 20% = 0.72億VND

  3. 延滞利息: 1日0.03%の利率で、約5年(約1,826日)分 3.6億VND × 0.03%/日 × 1,826日 ≒ 1.97億VND

最終的な支払総額の合計 3.60億VND (本税) + 0.72億VND (罰金) + 1.97億VND (利息) = 6.29億VND(約3,145万円)


利益率がわずか1.8%足りなかっただけで発生した追徴税額3.6億VNDが、5年の時を経て、最終的な支払額は約1.75倍の6.29億VNDにまで膨れ上がります。 これが「時間が経てば経つほど雪だるま式に増える」と言われる所以であり、ベトナム移転価格税制の本当の恐ろしさです。

罠④:反論不能の「ブラックボックス・データベース」

仕上げに、当局は「我々の非公開データベースによれば、中央値はもっと高い」と主張する権限まで持っています。企業側はその中身を見ることができず、反論は極めて困難になります。

第3章:では、どうすればいいのか?最強の盾を持つには?

ここまで読んで疑問が湧いたと思います。
そんなおかしな法律があるんだったら、TP文書なんか高額なお金を払ってコンサル会社に作ってもらっても意味ないんじゃないの?税務署は文書の中身をことごとく否定する権限を持っていうんでしょ?

そこで素朴な疑問をAI様に聞いてみました。

シナリオ:JBVN社に税務調査が来た日

シナリオ1【悲劇のシナリオ(質の低いTP文書、または文書がない場合)】

  1. 調査官: 「JBVN社さん、あなたの会社の利益率は4.0%ですね。我々の分析では、国内の同業他社はもっと利益を出しています。低すぎます。」

  2. JBVN社担当者: 「い、いや、我々の事業は特殊でして…」

  3. 調査官: 「『特殊』では説明になりません。政令132号に基づき、我々が選定した比較対象企業の利益率の中央値である5.8%で課税します。追徴税額は、罰金と利息を合わせて約6.29億VNDです。」

  4. JBVN社担当者: 「そ、そんな…!(何も反論できないまま、巨額の課税を受け入れるしかない)」

シナリオ2【救済のシナリオ(大手会計コンサル作成の質の高いTP文書がある場合)】

舞台は同じ、JBVN社の会議室。税務調査官の向かいに座っているのは、JBVN社の担当者と、文書を作成した会計コンサルの専門家です。

*実際には会計コンサルの専門家は税務調査に同席はしないと思います。同席しても良いという法律はあるようですが、税務調査官が嫌がって倍返しされるという話も聞きましたが、実際はわかりません。

  1. 調査官: 「JBVN社さん、あなたの会社の利益率は4.0%ですね。我々の分析では、国内の汎用部品メーカーの利益率はもっと高い。あなたの会社は利益が低すぎます。」

  2. 会計コンサル担当者: (落ち着いて分厚いTP文書を開きながら) 「調査官、ご指摘ありがとうございます。その点につきましては、我々も事前に詳細な検討を行っております。お手元の移転価格文書のXXページをご覧ください。」 「そこには、ご指摘の汎用部品メーカーを、なぜ当社の比較対象として採用しなかったか、その具体的な理由が記載されています。JBVN社の事業は、高い研究開発費と技術力を要する『高機能センサー』であり、ビジネスモデルやコスト構造が汎用部品メーカーとは根本的に異なります。この分析は、OECDガイドラインに準拠したものです。」

    • →【救済ポイント①:不適切な比較の無力化】 調査官の最初の、そして最も強力な攻撃である「不適切な比較」を、事前に準備された詳細なロジックと証拠で完全に無力化します。議論の土台が「JBVN社は利益が低い」から、「比較対象企業の妥当性」という専門的な議論に変わります。

  3. 調査官: (少しひるみながらも、次のカードを切る) 「…分かりました。では、あなたがたが選んだ比較対象企業で分析しても、我々が保有する非公開データベースによれば、利益率の中央値はもっと高い数値が出ています。」

  4. 会計コンサル担当者: 「当局が独自のデータベースをお持ちであることは承知しております。しかし、我々が提出したこの文書は、世界的に利用されている公開データベースに基づき、透明性の高いプロセスで作成されたものです。」 「もし当局のデータベースの数値を採用されるのであれば、政令132号の規定に基づき、その算定根拠についてご説明いただけますでしょうか。それが難しい場合、我々としてはこの文書の正当性を主張せざるを得ません。」 「ただし、もちろん我々は当局と争いたいわけではありません。双方の分析結果にどのような差異があるのか、建設的な協議の場を設けていただくことは可能でしょうか?」

    • →【救済ポイント②:ブラックボックスへの対抗と交渉の場の創出】 「秘密のデータベース」という最強のカードに対しても、**「透明性の欠如」と「説明責任」**という正論で対抗します。一方的な通告を許さず、相手を「対話のテーブル」に着かせるのです。これにより、最悪のシナリオである「問答無用で中央値課税」を回避し、交渉の余地が生まれます。

結論:JBVN社はどう救われたか

この後、数ヶ月にわたる当局との質疑応答と交渉が続きます。会計コンサルは、専門知識を駆使してJBVN社のビジネスの正当性を主張し続けます。

その結果、当初当局が主張した「中央値5.8%」での課税は回避され、例えば「レンジの下限である4.8%に近い数値で、所得を一部修正する」といった、双方が受け入れ可能な現実的な落としどころで合意に至りました。

  • 悲劇のシナリオ: 予測不能なタイミングで、経営を揺るがす約6.29億VNDの支払いを一方的に命じられる。

  • 救済のシナリオ: 専門家が介入し、交渉の末、追徴額を例えば1億VND程度に抑えることに成功。これは損失ではあるものの、予測可能で管理可能な事業コストとして処理できる。

シナリオ3:【会計コンサル不在で税務調査に臨んだJBVN社】

これが最も可能性の高いシナリオだと思います。JBVN社の会議室。調査官の向かいに座っているのは、JBVN社の担当者ただ一人。手元には分厚く、立派なTP文書が置かれています。

  1. 調査官: 「JBVN社さん、あなたの会社の利益率は4.0%ですね。我々の分析では、国内の汎用部品メーカーの利益率はもっと高い。あなたの会社は利益が低すぎます。」

  2. JBVN社担当者: (少し慌てながら、TP文書のページをめくり) 「ええと、お待ちください…この文書の52ページに、ご指摘の汎用部品メーカーは、当社の事業とは異なるため比較対象として不適切だと記載されています。」

  3. 調査官: (表情を変えずに、鋭く切り返す) 「では、なぜ不適切なのですか? 事業モデルが違うとは、具体的にどう違うのか、財務諸表上の指標を用いて定量的に説明してください。研究開発費の売上高比率、販売管理費の構造、顧客層の違いが、利益率にどのような影響を与えているか、そのメカニズムを具体的に説明できますか?」

  4. JBVN社担当者: 「そ、それは…この文書を作成した専門家ではないので、詳細な分析ロジックまでは…(言葉に詰まる)」

    • →【悲劇の始まり:盾を使いこなせない】 立派な「盾」(TP文書)は手元にあるのに、その盾の構造や使い方を熟知していないため、最初の攻撃を防ぎきれません。調査官は「この担当者は文書の中身を理解していない」と見抜き、一気に優位に立ちます。文書に書いてあることを読み上げるだけでは、全く反論にならないのです。

  5. 調査官: (畳み掛けるように) 「説明できないのですね。では、こちらの分析を採用します。また、仮にあなたがたの選んだ比較対象を認めたとしても、我々の非公開データベースでは、中央値は5.8%です。この数値で計算します。」

  6. JBVN社担当者: 「そちらのデータベースの根拠を見せていただけないと、納得できません。」

  7. 調査官: 「それは内部情報ですから開示できません。政令132号で我々の使用は認められています。この数値に納得できないのであれば、なぜ納得できないのか、その法的・経済的根拠をあなたが今ここで証明してください。

    • →【悲劇の決定打:交渉の土俵にすら上がれない】 専門家であれば、ここから法律論や過去の事例を交えた高度な交渉を始めるところですが、担当者一人ではなすすべがありません。「証明責任は納税者側にある」という原則を盾に、無理難題を突き付けられ、完全に沈黙させられてしまいます。

結末:文書はあっても「悲劇」は防げない

結局、JBVN社の担当者は調査官の主張に有効な反論を何一つできないまま、時間だけが過ぎていきます。そして最終的に、当局の主張を丸呑みする形で、中央値5.8%に基づいた約6.29億VNDの追徴課税の決定通知を受け取ることになります。

もし、その場にコンサルがいなかったら【本当にすべきだったこと】

では、万が一、担当者一人で対応せざるを得ない状況になった場合、どうすればよかったのでしょうか。 たった一つ、覚えておくべきことがあります。

それは、**「その場で即答せず、時間稼得に徹する」**ことです。 調査官から専門的な質問をされたら、以下の「魔法の言葉」を使いましょう。

「ご指摘の点、ありがとうございます。専門的な内容を含みますので、一度社内で確認し、文書を作成した会計コンサルにも相談の上、後日正式に書面にて回答させていただきます。」

この一言で、その場での不利な議論を中断し、ボールを一度持ち帰ることができます。そして、すぐに会計コンサルに連絡を取り、次の打ち合わせには必ず同席してもらうよう手配するのです。

移転価格文書は「弁護士が作成した答弁書」、会計コンサルは「法廷に立つ弁護士本人」です。最高の答弁書があっても、法廷でそれを使いこなす弁護士がいなければ、裁判に勝つことはできないのです。

質の高い移転価格文書は、それ自体が自律的に会社を守ってくれるわけではありません。それはあくまで、**高度な専門知識を持つ使い手がいて初めて機能する、高性能な武器(または盾)**なのです。

大手会計コンサルが作成した移転価格文書は、税務調査を100%なくす魔法のアイテムではありません。 それは、「一方的な処刑」を「ルールに基づいたプロの交渉」に変え、会社の未来を奪いかねない「悲劇」を、乗り越えるべき「経営課題」へと転換させてくれる、唯一にして最強の武器なのです。


本社説明用:政令132号の危険な条文とその解説

本社に移転価格文書作成の説明をしたり、何かあったときのために事前に保険で説明をするために政令132号の説明をしなければならないと思います。

記事で解説した「4つの罠」が、法令のどの部分に書かれているかを一つずつ見ていきましょう。

罠①:「リンゴ」と「ミカン」の比較を強制されるリスク

リスクの概要:
当社の事業(例:高機能センサー)は特殊であり、本来比較すべきは同様の技術を持つ企業です。しかし、政令132号は、比較対象企業を探す際に、まずベトナム国内の企業から選ぶことを強制します。ベトナム国内に当社と比較可能な企業は存在しないため、結果として事業内容が全く異なる企業(例:汎用部品メーカー)と比較され、不当な利益率を要求されるリスクがあります。

本社への説明ポイント:
「当社のビジネスの特殊性を無視し、ベトナム国内の全く異なる業態の企業を基準に『利益が低い』と指摘される危険性があります。これは、法令で国内企業を優先することが定められているためです。」

証拠となる条文:
このリスクの直接的な根拠は、比較対象企業の選定方法を定めた第6条第3項d点です。

Điều 6. Phân tích, so sánh và lựa chọn đối tượng so sánh độc lập
Khoản 3. Nguyên tắc lựa chọn đối tượng so sánh độc lập để phân tích, so sánh:
Điểm d) Ưu tiên lựa chọn đối tượng so sánh độc lập là các doanh nghiệp cư trú tại Việt Nam. Trường hợp không tìm được đối tượng so sánh độc lập tại Việt Nam, việc tìm kiếm được mở rộng ra các quốc gia trong khu vực có điều kiện ngành và trình độ phát triển kinh tế tương đồng.

【日本語訳】

第6条 独立比較対象の分析、比較及び選定
第3項 独立比較対象を選定する際の分析・比較の原則:
d点 ベトナムに居住する企業である独立比較対象の選定を優先する。ベトナムで独立比較対象が見つからない場合に限り、同等の産業条件及び経済発展レベルを有する地域の他国に対象を拡大する。


罠②・③:狭い合格ラインと、一発アウト級のペナルティ

リスクの概要:
政令132号は、企業の利益率が妥当とされる「合格レンジ」を国際標準より狭く設定しています(罠②)。さらに、その狭いレンジからわずかでも外れた場合、利益をレンジの下限ではなく、中央値(メディアン)まで一気に引き上げて課税するという、極めて厳しいルールを定めています(罠③)。

本社への説明ポイント:
「合格ラインが非常に厳しく設定されている上、わずかでもそのラインを下回ると、ペナルティとして『平均点(中央値)』まで利益があったものとして巨額の追徴課税を受ける仕組みになっています。これは最も危険な点です。」

証拠となる条文:
これらのルールは、政令の補遺Ⅰ(Phụ lục I)と第8条第6項a点に明確に記載されています。

1. 「狭い合格レンジ」の証拠:補遺Ⅰ
合格レンジを「35パーセンタイルから75パーセンタイル」と定めているのは、補遺Ⅰの第3部B節2.c.2です。

Phụ lục I - Mẫu số 01: Thông tin về giao dịch liên kết
Mục III. Kết quả sản xuất kinh doanh sau khi xác định giá giao dịch liên kết
Phần B. Phương pháp xác định giá giao dịch liên kết
Khoản 2.c.2) ... khoảng giá trị giao dịch độc lập chuẩn là khoảng giá trị từ bách phân vị thứ 35 đến bách phân vị thứ 75.

【日本語訳】

補遺Ⅰ - 様式01:関連者間取引に関する情報
第3部 関連者間取引価格の決定後の生産経営結果
B節 関連者間取引価格の決定方法
2.c.2項 ...標準独立取引価額レンジとは、35パーセンタイルから75パーセンタイルまでの値の範囲である。

2. 「中央値への修正」の証拠:第8条
レンジ外の場合に「中央値」へ修正される根拠は、第8条第6項a点にあります。

Điều 8. Các phương pháp so sánh, xác định giá giao dịch liên kết
Khoản 6. Áp dụng phương pháp so sánh xác định mức giá, tỷ suất lợi nhuận, tỷ lệ phân bổ lợi nhuận:
Điểm a) ... Trường hợp giá sản phẩm trong giao dịch liên kết của người nộp thuế không nằm trong khoảng giá trị giao dịch độc lập, cơ quan thuế thực hiện điều chỉnh giá giao dịch liên kết của sản phẩm đó vào giá trị phù hợp nhất trong khoảng giá trị giao dịch độc lập. Giá trị phù hợp nhất là giá trị trung vị của khoảng giá trị giao dịch độc lập...

【日本語訳】

第8条 関連者間取引価格の比較及び決定方法
第6項 価格、利益率、利益配分率を決定するための比較方法の適用:
a点 ...納税者の関連者間取引における製品価格が独立取引価額レンジ内にない場合、税務当局はその製品の取引価格を、独立取引価額レンジ内の最も適切な値に調整する。最も適切な値とは、独立取引価額レンジの**中央値(メディアン)**である...


罠④:税務当局の「秘密のデータベース」

リスクの概要:
我々がどれだけ公開情報に基づいて正当性を証明しても、税務当局は彼らしか見ることのできない独自のデータベースを課税の根拠として使用することが認められています。これにより、当局の主張に対して有効な反論を行うことが著しく困難になります。

本社への説明ポイント:
「最終的に、税務当局は我々がアクセスできない『ブラックボックス』のデータを基に課税できる権限を持っています。これにより、税務調査の結果が予測不能となり、経営上の大きなリスクとなっています。」

証拠となる条文:
この権限の根拠は、第20条第6項に記載されています。

Điều 20. Quản lý rủi ro trong quản lý thuế đối với doanh nghiệp có giao dịch liên kết
Khoản 6. Cơ quan thuế thực hiện thu thập thông tin, dữ liệu từ các nguồn khác nhau để phục vụ công tác quản lý rủi ro, bao gồm: ... cơ sở dữ liệu của cơ quan thuế; thông tin, dữ liệu từ các cơ quan, tổ chức, cá nhân khác; các cơ sở dữ liệu thương mại mà cơ quan thuế mua và các nguồn thông tin công khai khác.

【日本語訳】

第20条 関連者間取引を有する企業に対する税務管理におけるリスク管理
第6項 税務当局は、リスク管理業務のために様々な情報源から情報・データを収集する。これには...税務当局のデータベース、他の機関・組織・個人からの情報・データ、税務当局が購入する商業データベース及びその他の公開情報源が含まれる。

これらの条文を提示することで、私たちが直面しているリスクが単なる「会計コンサルの煽り」ではなく、ベトナムの法令に根差した、具体的かつ深刻なものであることを本社にご理解いただけるかはわかりません。

「そんなバカなことがあるか!」

で終わるか終わらないかは、あなた次第です。

オマケ:特に本社への説明がベトナム法人代表者にとって難しいと思うので、AIにどうやって説明するかメールを提案してもらいました。状況的には移転価格文書を発注する許可を取る状況が良いだろうということでそのようなお題で作成してもらいました。

【メールテンプレート最終版 Ver.2】本社向け・ベトナム移転価格税制リスク報告と対策予算の申請

件名: 【重要・要相談】ベトナム事業における税務リスク(移転価格税制)と来年度の対策について

宛先: [本社 担当役員名] 様 [本社 経理部長名] 様 [本社 事業部長名] 様

CC: [関係各位]

いつも大変お世話になっております。
ベトナム法人代表の[あなたの氏名]です。

本日は、当JBVN社の安定的運営に関わる重要な税務リスク、特に「移転価格税制」について現状をご報告し、来年度の必須対策についてご相談させていただきたく、ご連絡いたしました。

  1. ベトナム移転価格税制における、特に留意すべき規定

ベトナムの税務当局は、親子会社間の取引に対して「政令132号」という独自の法律に基づき、非常に厳しい視点を向けています。この法律には、日本や他の国にはない、下記のような規定が存在します。

規定①:不適切な比較対象の強制(第6条)
当社の利益率が妥当かを判断する際、事業内容が全く異なるベトナム国内企業を比較対象として強制されるリスクがあります。これは、法令で国内企業を優先することが定められているためです。

規定②:過度に厳しい「合格ライン」(補遺I)
利益率が妥当とされる「合格ライン」が、国際標準(25パーセンタイルから)ではなく、より厳しい「35パーセンタイルから」に設定されています。

規定③:過大なペナルティ(第8条)
もし合格ラインをわずかでも下回った場合、利益を「平均点(中央値)」まであったものと見なされ、課税額が算定されます。
例えば、当JBVN社が営業利益率4.0%を達成した年度で、当局の分析の結果、合格ラインが4.8%、中央値が5.8%だったと仮定します。
この場合、当社の利益率は4.0%なので不合格となり、当局は当社の利益率を中央値である5.8%だったものとして再計算します。

当社の売上規模(例:1,000億VND/約5億円)でこの事態が発生すると、追徴される法人税だけで3.6億VND(約1,800万円)に達します。
さらに、この指摘が5年前の申告に対するものであった場合、罰金と高額な延滞利息(年利約10.95%)が加わり、最終的な支払総額は6.29億VND(約3,145万円)にまで膨れ上がるという、看過できない金額になります。

  1. なぜ「事後の申し立て・交渉」が困難なのか

ここが最もご理解いただきたい点です。日本本社側では「万が一、税務当局から不当な指摘を受けても、異議申し立てを行えば、対話を通じて解決できる」とお考えになるかもしれません。私も当初はそのように考えておりましたが、ベトナムの税務実務における現実は大きく異なります。

問題が発生した後の「事後交渉」が極めて困難な理由は、主に以下の3点です。

理由①:交渉の余地がない「法律の執行」
日本では「協議」の文化がありますが、ベトナムではまず法律(政令132号)の条文が絶対的な拠り所となります。例えば、当局が「あなたの会社の利益は、平均点(中央値)に修正します」と主張してきた場合、それは交渉の提案ではなく、「第8条に定められたルール通りの執行」です。法律で明確に定められた事項に対して、我々が「それは厳しすぎる」という交渉を行う余地は、残念ながらほとんどありません。

理由②:反論を封じ込める「情報の非対称性」
交渉をさらに困難にさせているのが、当局が持つ「非公開データベース」の存在です(第20条)。当局が「我々の秘密のデータによれば、もっと利益が出ているはずだ」と主張した場合、我々はそのデータの出所や正当性を確認する術がありません。これは、相手の手の内が見えないまま、こちらの正当性を証明し続けなければならないという、極めて不利な状況を意味します。

理由③:納税者側に課せられた重い「立証責任」
移転価格税制では、取引価格が妥当であることの立証責任は、一貫して我々納税者側にあります。当局は、我々が提出した証明(移転価格文書)の不備を一つ指摘するだけでよく、我々はそれに対して完璧な再反論をしなければなりません。

これらの背景から、ベトナムでは問題発生後の「事後交渉」に期待することは非常にリスクが高く、調査前に、法令に準拠した完璧な防御資料(移転価格文書)を準備しておく「事前防御」が唯一にして最善の策となります。

  1. 来年度の対策と予算に関するご相談

つきましては、上記の「事前防御」として最も有効かつ法令で定められた防御策である「移転価格文書」の作成・更新を、来年度も計画的に実施したく存じます。
これは、税務調査が入った際に、当社の取引価格の正当性を主張するための唯一の公式な「盾」です。

本件対応のため、会計コンサルへの発注許可、ならびに予算(概算:XXX円)の確保につきまして、ご検討いただけますでしょうか。

  1. 今後について

本件は、ベトナム事業における予測不能な損失を未然に防ぐための、極めて重要なリスク管理策と考えております。

本メールに、ベトナムの移転価格税制のリスクについて、より詳細に解説した資料(※)を添付いたしました。ご多忙中とは存じますが、ご一読いただけますと幸いです。

また、本件の詳細につきまして、次回の定例会議等でご説明の機会をいただくことは可能でしょうか。

お忙しいところ恐縮ですが、ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

[あなたの氏名] [役職] ジャパン・プレシジョン・ベトナム(JBVN社)